ヤポネシア南島通信 › カテゴリー・レビュー › 映画「ONE SHOT ONE KILL」見てきました
映画「ONE SHOT ONE KILL」見てきました
2010年02月01日
映画「ONE SHOT ONE KILL 兵士になるということ」を見てきました。
この日は上映後にシンポジウム「沖縄のマスコミが見た世界の米軍基地」もあり、こちらにも参加。
沖縄と関連深いアメリカ軍海兵隊の新兵訓練を追ったこのドキュメンタリー映画は、日曜ということもあり、満席に近い入りでした。
映画は、普通の若者が12週間で殺人マシンとして仕立て上げられるさまをナレーションなしで映し出します。
入隊者にはアフリカ系、ラテン系、アジア系も多くいます。
訓練所へ深夜に到着した彼らはまず家族へ電話をかけ、一字一句決められたことを機械的に話します。到着したこと、荷物を送るなということ、さようなら。それだけ。
愛してる(I love you.)を付け加えることも禁じられているのです。受話器の隣りでは上官が「叫べ、叫べ!」と狂ったように怒鳴っています。
毎週500名の新兵が訓練所にやって来て、次々に海兵隊員が作られていくのだそうですが、それは、毎週それだけの海兵隊員が死んだり怪我をしたり病気になったりして使い物にならなくなっているということです。
藤本幸久監督がこの映画を作った動機は、2005年に映画「Marines Go Home」を撮影した辺野古であどけない若い海兵隊員を見て、彼らがどのように人を殺せるようになったのか知りたいと思ったことだそうです。
訓練の撮影許可を得るのには苦心したそうです。
米軍にマスコミが取材の申し込みをしても返事もないことがざらだそうで、ましてやこんなドキュメンタリーの撮影なんて...。
藤本監督は逆に「立派なな訓練が行われていることを見せたい」という海兵隊の自尊心(彼らは仕事に誇りを持ってやっている)につけ込んで許可の申請をしたところ、撮影許可が下りたそうです。
この映画はまず沖縄で2月12日まで上映されたあと、北海道・江別市の「ドラマシアター ども」で2月27日、福岡市立男女共同参画推進センター「アミカス」で3月25日に上映会が開かれ、東京・渋谷の「アップリンクX」で4月10日から公開される予定だそうです。
詳しくは公式上映案内サイトでご確認ください。
上映後のシンポジウムにはほとんどの観客が残って、また、シンポジウムのために来場した人もあり、ほぼ満席。
沖縄のメディア(テレビ局、新聞社)から3名がパネリストとしてレポートしてくださいました。
左から、藤本監督、松本さん、照屋さん、岸本さん
QAB(琉球朝日放送)の報道部記者、岸本貴博さんは「米海軍の動向とグアムの現状」で、原子力潜水艦の沖縄への寄港が増えていること(アメリカの台湾への兵器供与と関連?)と普天間海兵隊の一部が移設する先となっているグアムの現状をリポート。普天間の海兵部隊8,000人がグアムへ移転することになっているが実際に移動する人数は不明で、沖縄の負担減は未知数だと指摘しました。
RBC(琉球放送)の報道部デスク、照屋信之さんは「見てきた在韓米軍事情」で、劣悪な在韓米軍基地の状態(30〜40年前の沖縄くらいだそう)、誤爆事故や軍用車による民間人轢死事件(犯人は無罪)などから基地反対運動に発展し、ついに2005年に50年間占領されていた射爆場の返還を勝ち取ったことや、米軍人犯罪撲滅運動、被害者救済活動をしている人の紹介(沖縄の人とも連帯しているそうです)などの報告がありました。
琉球新報の経済部記者、松本剛さんは「基地周辺住民の命の重さ 二重基準は許されるのか」で、在中米軍基地の異常さを再認識すべきだと訴えました。嘉手納基地では深夜早朝を問わず爆音を轟かせて戦闘機が飛びますが、例えばイタリアの米軍基地はイタリア軍の参加で運用され、イタリアの習慣である昼寝の時間(午後1時から4時頃)には基地の活動も休止するそうです。イタリアでできて日本でできないことでしょうか?
また、基地内では機体を洗う洗剤や燃料が地面に染みて環境汚染が起きているけれど、地位協定で返還時に土地の浄化責務を米軍に負わせていないために、返還後に十数年間かけて自分たちで土壌や水を浄化しなければならないことになっているそうです。この一点からも日米地位協定の見直しが必要だといえます。
質疑の時間に挙手をして、「本当に日本が代替地を決めなくてはいけないのか、県民大会に集まった県民の気持ちは普天間基地の閉鎖ではないか」と発言しました。パネリストのみなさんも大きくうなづいていらっしゃいました。
内閣は5月までに普天間の代替地を決定すると言っていますが、まずはそもそも海兵隊が必要かどうか考えるべきだと沖縄のメディアのお三方もおっしゃっています。
鳩山さん、もしこれを見ていたら、そんなわけないけど、見ていなくても、ヨロシク頼みますよ!
マイケル・ムーア監督の「キャピタリズム〜マネーは踊る」も、よかったですよ。
強欲資本主義の行き着いた先の酷い現実を見せる一方で、民衆の底力も捨てたもんじゃないことも見せてくれ、観客に立ち上がり行動することを促します。
現在各地で好評公開中ですので、ぜひ見てみてくださいね!
>>公開情報
(コースケ)
この日は上映後にシンポジウム「沖縄のマスコミが見た世界の米軍基地」もあり、こちらにも参加。
沖縄と関連深いアメリカ軍海兵隊の新兵訓練を追ったこのドキュメンタリー映画は、日曜ということもあり、満席に近い入りでした。
映画は、普通の若者が12週間で殺人マシンとして仕立て上げられるさまをナレーションなしで映し出します。
入隊者にはアフリカ系、ラテン系、アジア系も多くいます。
訓練所へ深夜に到着した彼らはまず家族へ電話をかけ、一字一句決められたことを機械的に話します。到着したこと、荷物を送るなということ、さようなら。それだけ。
愛してる(I love you.)を付け加えることも禁じられているのです。受話器の隣りでは上官が「叫べ、叫べ!」と狂ったように怒鳴っています。
毎週500名の新兵が訓練所にやって来て、次々に海兵隊員が作られていくのだそうですが、それは、毎週それだけの海兵隊員が死んだり怪我をしたり病気になったりして使い物にならなくなっているということです。
藤本幸久監督がこの映画を作った動機は、2005年に映画「Marines Go Home」を撮影した辺野古であどけない若い海兵隊員を見て、彼らがどのように人を殺せるようになったのか知りたいと思ったことだそうです。
訓練の撮影許可を得るのには苦心したそうです。
米軍にマスコミが取材の申し込みをしても返事もないことがざらだそうで、ましてやこんなドキュメンタリーの撮影なんて...。
藤本監督は逆に「立派なな訓練が行われていることを見せたい」という海兵隊の自尊心(彼らは仕事に誇りを持ってやっている)につけ込んで許可の申請をしたところ、撮影許可が下りたそうです。
この映画はまず沖縄で2月12日まで上映されたあと、北海道・江別市の「ドラマシアター ども」で2月27日、福岡市立男女共同参画推進センター「アミカス」で3月25日に上映会が開かれ、東京・渋谷の「アップリンクX」で4月10日から公開される予定だそうです。
詳しくは公式上映案内サイトでご確認ください。
上映後のシンポジウムにはほとんどの観客が残って、また、シンポジウムのために来場した人もあり、ほぼ満席。
沖縄のメディア(テレビ局、新聞社)から3名がパネリストとしてレポートしてくださいました。
左から、藤本監督、松本さん、照屋さん、岸本さん
QAB(琉球朝日放送)の報道部記者、岸本貴博さんは「米海軍の動向とグアムの現状」で、原子力潜水艦の沖縄への寄港が増えていること(アメリカの台湾への兵器供与と関連?)と普天間海兵隊の一部が移設する先となっているグアムの現状をリポート。普天間の海兵部隊8,000人がグアムへ移転することになっているが実際に移動する人数は不明で、沖縄の負担減は未知数だと指摘しました。
RBC(琉球放送)の報道部デスク、照屋信之さんは「見てきた在韓米軍事情」で、劣悪な在韓米軍基地の状態(30〜40年前の沖縄くらいだそう)、誤爆事故や軍用車による民間人轢死事件(犯人は無罪)などから基地反対運動に発展し、ついに2005年に50年間占領されていた射爆場の返還を勝ち取ったことや、米軍人犯罪撲滅運動、被害者救済活動をしている人の紹介(沖縄の人とも連帯しているそうです)などの報告がありました。
琉球新報の経済部記者、松本剛さんは「基地周辺住民の命の重さ 二重基準は許されるのか」で、在中米軍基地の異常さを再認識すべきだと訴えました。嘉手納基地では深夜早朝を問わず爆音を轟かせて戦闘機が飛びますが、例えばイタリアの米軍基地はイタリア軍の参加で運用され、イタリアの習慣である昼寝の時間(午後1時から4時頃)には基地の活動も休止するそうです。イタリアでできて日本でできないことでしょうか?
また、基地内では機体を洗う洗剤や燃料が地面に染みて環境汚染が起きているけれど、地位協定で返還時に土地の浄化責務を米軍に負わせていないために、返還後に十数年間かけて自分たちで土壌や水を浄化しなければならないことになっているそうです。この一点からも日米地位協定の見直しが必要だといえます。
質疑の時間に挙手をして、「本当に日本が代替地を決めなくてはいけないのか、県民大会に集まった県民の気持ちは普天間基地の閉鎖ではないか」と発言しました。パネリストのみなさんも大きくうなづいていらっしゃいました。
内閣は5月までに普天間の代替地を決定すると言っていますが、まずはそもそも海兵隊が必要かどうか考えるべきだと沖縄のメディアのお三方もおっしゃっています。
鳩山さん、もしこれを見ていたら、そんなわけないけど、見ていなくても、ヨロシク頼みますよ!
マイケル・ムーア監督の「キャピタリズム〜マネーは踊る」も、よかったですよ。
強欲資本主義の行き着いた先の酷い現実を見せる一方で、民衆の底力も捨てたもんじゃないことも見せてくれ、観客に立ち上がり行動することを促します。
現在各地で好評公開中ですので、ぜひ見てみてくださいね!
>>公開情報
(コースケ)
【追記】
シンポジウムのことがRBCのニュースで取り上げられています。
シンポジウムのことがRBCのニュースで取り上げられています。
at 23:22│Comments(0)
│レビュー